三鳳GPT【らんちぇすたー】

さて、第3回目は令和5年5月12日付けでサンマ天鳳位になった「らんちぇすたー」さんの紹介です。

「短期間に何回九段昇段してるんだw」という時期を経て、「いったい何度十段坂登ってるんだw」という時期も経て、ついに天鳳位まで登りつめました。要するに「鬼打ち体質」です(とは言っても一日平均10戦前後くらいの日が多いので、変態レベルの鬼打ちはしないですが)。

では、総合成績を見てみましょう。

【R5.5月現在の成績】

試合数:2851戦 やや多い

最高段位:天鳳位(現) 神Σ(・□・;)!!しかも直近十段3回経由です。

最高R:2450 この数値もバグってますw

安定段:8.8495 ほぼ安定九段。わかる人にはわかると思います。この数値の意味が・・・

アガリ率0.2771 標準

放銃率0.1300 標準

リーチ率0.2791 標準

副露率0.2308 わりと食い仕掛けする印象がありますが、そこまで鳴いてないです。

最多対戦者:ガーネット(101戦) 悪魔的”圧”を持つストロングスタイルのプロです。そして、この直対の平均順位はなんと驚異の1.802!ただ、ガーネットさん側もほぼトントン。つまり「らんちぇ&ガーネ卓に入った者にはもれなく”死”あるのみ」ということです(笑)

【打ち方の特徴】

打点重視バランス型。打点への意識が一般的な打ち手よりも高い傾向があります。また、「着手が適切でバランスがいい(正着打が多い)」ため、アガリ・放銃・リーチのスタッツが全て標準数値範囲内に収まっています。食い仕掛けについても、形と打点を考慮して鳴くべき牌はしっかりと鳴く印象です。そして、ラス率は驚異の29%以下!九~昇天までのループでの好調を考慮してもラス率が低いです。なお、サブアカ(こちらも十段になってます)のラス率も低いのでラス回避技術が高いことは間違いありません。着順も1位>2位>>3位と理想の配分になっており、一言で表せば「理想の標準体型」といったスタイルです。

【その他の情報】

・Mリーグ視聴者。一人カラオケに行くこともある模様。

・ツイッターの発言内容も「標準的」。まさにバランス型の極致。

・ランチェスターの法則・・・「戦争における戦闘員の減少度合いを数理モデルに基づいて記述した法則のこと」らしいです(雑学)

【対局紹介】

まずは天鳳位に昇段した対局のオーラスを紹介します。

対面はアガリトップで發ポンの仕掛け。捨て牌は3900のシャンテンくらいに見えますがもう満貫テンパイしてます。上家は跳満ツモで2着ですが、トップ目からの直撃でも西入があるため満貫あればダマテンに構える可能性もある局面です。捨て牌だけ見るとおそらく2シャンテン以下ですが、抜きドラ2枚が怖いので要注意です。

注目すべきはこの西切りドラ9s引きをギリギリまで見て7sだけを残すという手順を踏んでいます。これがなかなかできそうでできない。スピード重視なら5・7sを切らずに進めるし、露骨な染めで安全を確保しつつ牽制するなら7sも早めに切りたいところですが、そのどちらでもない。繊細な手順が光ります。

巡目が進みます。狙いどおり9sを引き、さらに9sがトイツになったここで両方に危険牌の7sをリリース。山にありそうなピンズの下を厚く持ち、確実に満貫を狙いに行きます(チャンタ狙いの打2pは5800になるルートがあり、ポンテン枚数も減り、将来7sか9sが出るため✕です)。

最後は東を引いて4000オール。天鳳位が誕生した瞬間です。コングラッチュレーションです。

それでは次に、打ち方の特徴が見て取れる画像を一気に見ていきましょう。

これは2回目の天鳳位昇段戦の画像。次巡下家のりゅすくさん(╰⋃╯)に魂のダマ24000を放銃する一局です。3pからではなくドラ4p引きを見て1pから払っています。巡目と捨て牌によっては3pからですが、序盤であればギリギリまで打点変化を見ます。

次局、ここで打1p。ホンイツやイッツーを見つつダブドラの5pを使い切る一打です。手なりで東を切る打ち手が多いですが、ダンラスでも雑にならずに明確な意思を持って打ち進めています

別の対局です。ここでもドラ5sを使い切りつつタンヤオを見る打9s。8s引きを拒否し、安全牌を残します。トップ目なら分かりますが、東場の2着目でこの9sを打つ打ち手はなかなかいない。

イッツーを見て1pを残し南のトイツ落とし。なんとなく發を切るのではなく、最終形の構想をしっかりと持って打ち進めます。

次は神プレイ。打7sで9sをアタマ固定したところに8s引き。なんとこの当たり牌の8sを止めて生牌の發切り!タンヤオ移行があるので残したとも取れますが、打7sで一旦タンヤオ移行を拒否しています。なぜ止まる・・・?

そして8sを重ねてこの倍満ツモです。これはちょっと説明できないですが、雑に言うと神手順です

次は、なかなか踏めないクオリティの高い手順を紹介。まずこの手で打1p。これです、これなんです!安易に發を合わせず、6p切りでとりあえずシャンテンに取ることもせず、ドラ8p引きを見て6p残し。あわよくば染め。こういうところが非凡なんですよね。

そして、この最終形から一発ロン!素晴らしい・・・拍手不可避です。

次は押し引きの思考が分かる場面を紹介。

これ、じつはここまでの手順がすごい。上家の抜きドラ3枚を見て中盤から徹底ケアし、引かされた単独6pを止めて4pを引き戻してカン5pを入れて456pでメンツを完成させています。ちなみに前巡の4p切りは7pとのスライドで、ダマのイーペーコーなどがある7pのほうを止めています。そして安全なソウズの上のターツを払ってテンパイするもこのドラ2の役なしをなんとダマ!さらに上家からリーチが入るやいなや、こんなに丁寧に打ってたどり着いたテンパイをサラッと崩しますΣ(・□・;)※←回るにしても東あたりで多少は意地を張りたくなるのが人情です。

最終的にはこんな感じ。回りつつもある程度形をキープしています。粘り方の質が違います。

今度はこれ。チートイテンパイから4pを引かされテンパイを崩します。上家はパッと見てシャンテンくらいに見えますが、甘えません。打点のある仕掛けに対してはワンテンポ早めにケアを入れています

最後は、神手順からの役満です。上家に対して2-5pを止めると同時に、南やソウズのシャボ待ちも警戒して3sキープの打3p。

危険牌の南を重ね、2pも暗刻にしてリーチ!ここで3sを勝負します。いや、これはすごい・・・

数巡後、四暗刻つもッ・・・!!!これはしびれる・・・!!!ただ四暗刻を狙ったのではなく、「的確に危険牌を止めた上で組んだ最終形であること」。これがこの手の最大の価値です。

【まとめ】

上級者の牌譜を見て勉強したいと思っている方も多いと思います。今回紹介したらんちぇすたーさんは、スタッツを見る限り一見オーソドックスで特徴がなさそうですが、「細部を理解して観戦すると面白い打ち手」です。個人的な感想になりますが、オーソドックスでありながら、立体的で洗練された手順が多いという印象を受けました。牌譜を見て勉強したい人にはぜひおすすめしたい打ち手の一人です(^^♪

多趣味なのに、それらがことごとく実生活でほとんど役立っていないという事実に気づいてしまったペンギン♂
一部の人にしか刺さらないニッチな情報や雑感を「B型目線」で書いてます♪

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コメント

  1. テラバイト戦士 より:

    こんにちは!らんちぇすたーです!
    素晴らしい記事をありがとうございます。めちゃくちゃ褒めていただいてものすごく照れてました!前のソックスさんやその前の天ヶ瀬さんの記事も楽しく読ませてもらってます!

    結構いい成績残せるようになった(自分で言うのもあれなんですが笑)理由の一つに昔三鳳の方のブログの記事が大きな影響があります。
    どなたのかは忘れてしまったのですが、六巡目くらいにリーチを受けてこの2sを押すか押さないかで意見がわかれたとか、いろんな印象に残る記事があったのですが、1番はその方が「麻雀ノートが二冊目」という記事でした。

    当時そんなに真面目にやってなかった自分としては「強い人はこんな努力をするんだなぁ。まぁ自分には縁のない話だな」と思った記憶があります。

    そして真面目にやるようになった時、その記事を思い出してノートをつけるようになり今や同じように2冊目が終わろうとしています。

    あの記事がなければノートをつけることもなかったですし、今のように強くなっているかどうかわかりません。なのでもし、その方とお会いできればお礼を言いたいなと思っております。ありがとうございましたと。

    • ペン太 より:

      記事を読んでいただきありがとうございました!
      実際に何度も直接対戦しているんですが(まぁ大体”こちらの正体”は分かっていると思いますがw)、じっくり牌譜を見たのは初めてでした。”思考の動き”に注目しながら牌譜をひたすら追っていましたが、なんというか「システム的な判断だけではなく、打牌に思考の動きが強く表れていて面白い」と感じました。
      天鳳位のsigenoriさんや!”#$%&’(さんあたりのシステム寄りの打ち手も精密で美しいですが、それとは少し違い、なんというか”小説を読んでいる感覚”みたいな感じがあって、楽しく検証することができました。
      もし、記事にしてほしそうな方がいればこっそり教えてください笑(Twitterは鍵垢ですが、ソックスさんやりゅすくさん経由なら可能です)